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ラジオドラマの話を書きます [ドラマ]

今日、「オール讀物」の1月号が発売になり、角田光代さんの「それもまたちいさな光」が一挙掲載で発表になりました。TBSラジオ60周年記念ラジオドラマの原作です。

すでにドラマは完成して、オンエアの時を待っているわけですが、今回脚色と脚本を担当したものとして、いろいろと書いてみようかと思います。

まず、今回の脚色・脚本化の話をもらったのは、今年の10月の頭ぐらいだったと思います。プロデューサーの三条氏から声をかけられ、一枚の企画書を渡されました。そこに、このラジオドラマの企画が書いてありました。
作品は原作があり、角田光代さんの、それも書き下ろしの作品になると。
「3人の女性のそれぞれの恋愛と、それに絡む1人の男。そこにはいつも、とあるラジオ番組が寄り添っていた」
というような、あらすじだけが書いてある企画書で、原作そのものはまだ完成していませんでした。

発注を受けた時には、ちょっと迷いました。というのも、その1カ月前にSETの急遽公演の作・演出を頼まれていて、そろそろ台本作りに向かわなければと思っていた矢先だったからです。
しかも、来年の1月には自分のシアターまあの舞台も待っている。台本作りもまだだし、そもそもチラシは待ってくれない。急いで作らなければならない。そんな状態だったから。

ちょっと迷ったものの、引き受けることにしました。口幅ったい言い方になりますが、「これはオレ以外には書けないな」と思ったからです。「ラジオのことをよく知っている」「ドラマも書ける」「キャラクターにぴったりの役者もたくさん知っている」というような理由で。
「これはオレしかできない。しかも、今どきほとんどなくなったラジオドラマの、それもTBSラジオの60周年というような、ビッグプロジェクトに誘っていただいて、光栄なこともある」
てなことを考えて、「やります」と答えました。

ただ、一つだけ心配なことがありました。というのは、ボクはかつて原作ありの作品を脚色する仕事を引き受けたんですが、これができない。
書いた人の思いを思ってしまうと、カットができない。変更ができない。どうしても手が出せない。
結局、あきらめてしまったことがあったからです。

でも、結局は引き受けた。

時間的には、11月のSETの台本を仕上げるのが順番でしたが、もたもたしていると、どちらの企画も中途半端になる。まずはラジオドラマの台本に集中して書き上げてしまおうと、計画しました。
そして、角田さんの原作のゲラが上がってきました。
みてびっくりしました。今回のオール讀物の表紙にあるように、「感動の三百枚」という中編。

みなさんはピンと来ないかもしれませんが、三百枚というのは四百字詰め原稿用紙三百枚ということです。
放送の業界では、四百字の原稿用紙は一枚で一分見当になります。ってことはこのままだと三百分。つまり5時間のラジオドラマになってしまう。

ラジオの企画は二時間ドラマでした。(最初は二時間ドラマだったんです)

大幅に削らないといけない。

さあ大変です。カットが苦手な人間が、半分以下にカットしないといけない。もう覚悟を決めました。ズバズバ行くしかない。
そしてセリフ。これも大幅に変更しないといけないということがすぐにわかりました。
角田さんは小説家ですから、読むセリフはとっても上手です。でも、耳で聞くセリフにはなってない。原作を読んで、まずそれを思いました。そして、「失礼ながら、耳で聞くセリフを書くのは、オレの方が上だ」と信じて、どんどんと書き換えていきました。

そしてドラマを進めていく、地の部分。原作では、客観目線で地の部分が書かれていました。
たとえば、原作では「仁絵はその時、××と思っていた」という書き方。
でも、ラジオドラマではそれはとっても話が遠くなってしまうんです。

ラジオというメディアは、登場人物が直接リスナーに語りかけなければホントウが伝わりません。

そこで、地の部分(ラジオではナレーション部分)はすべて、主役と準主役(悠木仁絵と竜胆美帆子)のナレーションという形に書き換えました。(その結果、石田さんのセリフは膨大に。愛ちゃんのセリフも大量になる結果になりましたが)

原作を読みながら、ラジオドラマを聞いていただくと、どんなふうにセリフや地の部分が変わっているかが分かって面白いかと思います。

で、キャスト。
主役の石田ひかりさんは、番組の顔ですから、プロデューサーが選び、是非にと口説きに行ったんですが、その他の主要キャストは、ほとんど僕の提案が採用されました。
「この役は、あの役者がぴったりだ」と僕が思うキャストが決まっていきました。

その中でも、僕が収録に立ち会っていて、圧巻だったと思うのは、ラジオパーソナリティー役(つまり、物語のもう一人の主人公)竜胆美帆子(りんどう・みほこ)役の笹峯愛ちゃんでした。

原作を読んで、僕の頭の中にはすぐに笹峯愛ちゃんの名前が浮かびました。
笹峯愛ちゃんといえば、15年前にはアイドルをやっていて、王様のブランチのレポーターをやっている人ということで知っている人もいるかもしれません。

でも、最近は自分で台本も書けるし、演出もできるし、芝居もうまい。僕はそれを確認して信頼もしている。
「これは、愛ちゃん以外には考えられないな」と思いました。
(愛ちゃんは昔からの知り合い。最近もお互いの舞台を見に行き合っている仲)

「ラジオ番組を長年やっている人で、芝居もとっても上手な人」
と考えると、愛ちゃんがうってつけだと思ったからです。

早速会議で提案し、採用されました。

問題は、ちょうど収録時期に自分の演劇ユニット「and Me」の新作の舞台の本番が重なっていたからなんですが、今回は愛ちゃんは作・演出のみで、出演はしてないのが救いでした。

愛ちゃんに電話をすると、快諾をいただき、出てもらうことになりました。

で、今回の収録です。

みなさん、今回の圧巻は2日目の放送の愛ちゃんの一人語りのシーンです。
もちろん、石田ひかりさん、河相我聞さんたちの芝居もすばらしかったんですが、今回の圧巻は愛ちゃんの2日目の一人語りのシーンです。自分のこれからのこと、伴侶とのこと、番組のことを自分語りに語るナレーション。
約、6~7分、あったでしょうか。もっとかな。

この時の収録はすごかった。愛ちゃん、全く嚙まないんです。本番で嚙んで、しゃべり直したところが一切ない。
サブで愛ちゃんの一人語りを聞いているスタッフたちも、水を打ったように静かに愛ちゃんの声を聞いていました。
そして圧巻の一人語りが終わった瞬間、誰言うともなく、「すごい…」「うまいなあ…」と声が上がっていました。

今回のドラマの、僕は、一番の聞きどころだったと思っています。

愛ちゃんは、「ここの部分は何度読んでも泣いてしまっていた」と語っていましたが、その思い入れが、芝居に乗り移ったような感じでした。

楽しみにしててください。


さて、そのドラマですが、TBSラジオで、12月23日(金)の夜6時から7時半。12月24日(土)の夜6時から7時。
二日間に渡って放送されます。


今どき、これだけのラジオドラマは滅多に聞けないと思います。

是非、お聞きになって、感想を聞かせてください。

僕のツイッターでも、このブログのコメントでも、なんでもかまいません。


それでは、明後日の夜を、僕も楽しみに待つことにします。

以下は、ラジオドラマのホームページのアドレスです。

http://www.tbsradio.jp/hikari/index.html

ラジオドラマのお知らせです [ドラマ]

前回のブログに書いた、TBSラジオのラジオドラマの情報をお知らせします。

今回は、僕の書き下ろしではありません。原作があります。しかも、ただの原作ではありません。
人気作家 角田光代さんの原作です。まだ発表されていない新作で、タイトルが、
「それもまたちいさな光」という作品です。
http://www.tbs.co.jp/radio/radiotokyo/60sp/

放送時間は今月の23日と24日のどちらも午後6時〜7時に放送されます。金曜と土曜ですね。トータル2時間ドラマとなります。TBSラジオ60周年記念特番です。かなり大きなプロジェクトとなります。
(追記~今ホームページを見たところ、金曜日は午後6時~7時半の90分枠に枠拡大したみたいです。収録時にちょっと長いと思っていたんですが、枠拡大をしてしまうとは、すごい!)

物語は、イラストレーターの事務所に勤める悠木仁絵という主人公を中心に、3人の女性と1人男性のさまざまな恋愛の物語です。

その恋愛に、架空のラジオ番組が絡み、物語は進んで行きます。

主役の悠木仁絵役には、石田ひかり。相手役の雄大に河相我聞。
ラジオパーソナリティー役に、笹峯愛。ラジオスタッフに林和義、古川悦史、石毛友子。
その他の出演者は、SETの丸山優子、松村真知子、河本千明、南波有沙、野添義弘、坂田鉄平。
久ヶ沢徹、菅川裕子。などの豪華な出演者で、本格的なラジオドラマをお送りします。(敬称略)

最近では、これだけの本格的なラジオドラマを放送するのはホントウに珍しいので、みなさん楽しみにしておいてください。

また、放送日近辺に発売される、オール讀物に、角田さんの原作が掲載され、発表となります。

このラジオドラマの、脚色・脚本化を、僕が担当しました。

現在、収録が始まっています。

仕上がりがとっても楽しみです。

「タイムスクープハンター」 [ドラマ]

NHKの「タイムスクープハンター」が面白いです。

何が面白いって、役者たちの演技がすごい! 要潤と杏以外は、無名の役者たちばかりなんだけど、いつもとっても自然でとってもリアル。

どこから見つけてくるんだろうか。

たぶん、ドラマの演出家が優秀なんだろうなあ。


勉強になるのは、情報よりも、役者たちの演技です。

最新作の「しゃぼん玉売り」でも、主人公はもちろん、三吉の母親のたえさんをやっていた女優さんが上手だったなあ。
(あとで調べたら、フレッシュハーツという事務所の中島淳子という役者さんでした)



あと、台詞。江戸時代弁。勉強になるなあ。

「鈴木先生」 [ドラマ]

テレビ東京のどらま「鈴木先生」が面白いです。

原作の漫画は読んだことがありません。

今回のドラマが総てです。

最初は、誰が主役なのかわかりませんでした。グッさんが主役なのかと思ってしまいました。

すると、主役は一見地味な感じの長谷川博己さん。(文学座出身)


「なんだこれ、この人」と思っていましたが、見ているうちにどんどんと引き込まれてしまいました。

妄想癖がある先生なんですが、根はまじめ。生徒のことを一生懸命に考えていて、自分という教師のことも一生懸命に考えている。

「みたことがないから、リアル」「本当に、そこで生きているように見える」そんなドラマです。

ただ、視聴率が壊滅的に悪いそうです。

視聴率がいいと、ドラマが面白いのか。そんなことは全然ありませんよね。
もうずいぶん回もすすみ、クライマックスが近づいていますが、「なんらかの方法で」見られる人はみた方がいいです。


思い出してください。去年のお正月、僕はこのブログで「その街のこども、絶対に視聴率は悪いわ。でも絶対にこのドラマは認められるわ」と書きましたよね。

このドラマ、これから話題になりますよ。終わった後に「見ておけばよかったドラマ、ナンバーワン」になると思います。

今が最後のチャンスです。みなさん、乗り遅れないように。
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